とあるウエスト症候群患者の治療記録 その10

2013年3月、手術の為入院。
前日に生まれて初めて髪を切った。しかも坊主。
束ねた髪は我が家で今もそのまま保管している。
もちろん自分の身に何が起こるかなんて分かるはずもないので
いつも通りのお調子者なマチコの姿に胸が締め付けられた。
翌日、2013年3月11日午前9時、手術室へ向かう。
病棟出入り口のナースステーションで看護師さん達に「ばいばーい」と元気に手を振るも
いざ手術室の前になると様子が一変。
「イヤー!イヤー!ママー!だっこー!!」とまるで今生の別れのように泣き叫ぶマチコを
看護師さん達が何人かがかりで手術室の中へ連れて行く。
予定では17時~18時には終わるとの事だったので
それまでは外科病棟や宿泊棟をウロウロしたり、2人でオセロしたり
小児病棟に入院中だったお友達と話すなどして時間を潰した。
16時頃に「順調だが終わる時間は未定」との連絡を受ける。
「未定」という事は「予定」通りでは無いという意味だと思った。
それから5時間半ほど経過した21時半頃
「あと2時間ほどで終わる」と電話がかかり、ようやく胸を撫で下ろす。
結局、マチコと面会できたのは24時20分。
手術室の前で見送って15時間も経っていた。
外科での主治医兼執刀医の先生から説明を受ける。
それもつい先ほどまで脳の手術をしていたとは思えないほど
優しい口調で丁寧に分かりやすく。
当初の予定は発作の焦点である左後頭葉の「離断」手術。
要は焦点そのままは残すので焦点自体はずっと活動し続けるが
「離断」つまり脳全体からその焦点だけを切り離す事で
脳の他の箇所に影響を与えず、発作が起きないようになる。
という手術だったが
出血が多かった為、焦点そのものを取り除く「切除」手術に切り替えたので
時間がかかってしまったとの事だった。
一通りの説明を聞き終わり、病院もののテレビドラマの衣装のような格好で眠るマチコを残し
2人で宿泊棟へ向かった。
ナースステーションの横を通り過ぎようとすると、そこで執刀医の先生が
黙々とパソコンに向かって仕事をしていた。
その時すでに25時を回っていた。
本当にこの先生に担当してもらって良かったと思った。
翌朝、2人で外科病棟へ「最初にどっちを呼ぶかな?そもそも覚えているかな?」
なんて話をしながら向かった。
病棟に着くとマチコの泣き声が聞こえた。
手術直後は熱も出るらしく機嫌が悪い上に、必要な管を抜いたりしないように
ベッドに手を固定されて身動きが取れないようにされていたからだと思う。
部屋に入る。
マチコの第一声は
「ママ、ぴーさん(が居るよ)」だった。
僕はその日までしか休暇を取っていなかったので午後には新幹線で帰宅。
術後懸念されていた水頭症等の合併症の問題も出ず
「発作無し、脳波も良い」という最高の結果で手術から1ヵ月後の
2013年4月9日に、マチコと妻が退院した。
ちなみに、この時から今までずっと内服は「テグレトール」のみ。
そして明日で手術から1年。
それまで6月、12月の検査入院でも発作無し、脳波も良いという結果だった。
この1年のマチコの成長は本当に本当に物凄かった。
最近のマチコは嘘もつけるようになった。わざと間違う事も出来るようになった。
もうこんなの普通の3歳児やろと思うくらい。
(実際の健常な3歳児は段違いの発達度合いだけど)
裏を返せば、いかに発作が発達に悪影響を及ぼしているのかも憎いほど分かった。
けど、やっぱり我が家としてはマチコの治療・発達に関わってくれた全ての方に
ただただ「感謝」それしかない。
皆さん、本当にありがとうございます。
具体的に書いていきたいくらいですが、書き漏らしてしまいそうなくらい
物凄く大勢の方々に支えられこれまで治療を頑張ってこれたんだなという事を
この「治療記録」を書きながら改めて思い返す事ができました。
「初心忘るべからず」
言うのは簡単ですが、実際発作も無く元気なマチコが当たり前のようになってきて
我が家としても緩んでしまっていた部分もあったと反省する良いキッカケにもなりました。
こうやって偉そうに「病気ブログ」と謳ってはいますが
もともとの思慮の浅い性格や、読んでくれる人がクスっとしてくれたら良いなという考えもあって
今までなるべくネガティブな事は書かないようにしてきました。
そうなると自然と「発作」や「治療」という言葉とは縁遠くなって
そういう情報を知りたくて訪れてくれた方には
あまり役に立たない事もあったんじゃないかなーと思い
「とあるウエスト症候群患者の治療記録」として
ごくごく簡単ではありますが、これまでの治療の経緯をまとめてみました。
我が家としてもあくまで「今は発作は無い」「今日は発作は無かった」だと思ってるので
別に「治った」記録でもなんでもないのですが
これが同じ病気のお子さんをお持ちのどなたかの頭の片隅にでも残って
「ああ、そういえばあんな事書いてたな」と
決断・実行の参考程度にでもしていただけたら、もう本望です。
あーーーーーやりきったーーーーー!!!!!
やっぱやめときゃよかったって何回か本当に思ったーーーー!!
こんなマジメな記事向いてないわーーーー!!笑
ほんと今はウエスト症候群の事ちゃんと記録してくれてるブログいっぱいあるので
そういうの知りたい方は下のバナーからブログ村てんかんカテゴリーへGO!!!
今は先日東京で行われた「ウエスト症候群セミナー」の潜入レポートが激アツです。
そういうわけで、居るかどうかわかりませんが
10回も、しかも長文、全てお付き合いしていただいた方、本当にご苦労様でした!
さぞ苦痛だったでしょう。
でも安心してください。もうこんな事はしません。笑
そしてたまたまこの記事を読んでくれたという方も本当にありがとうございます。
このブログ、いつもはこんな感じじゃないんで、また遊びにきてください。
よっしゃー、ほろよい(白いサワー)飲んで寝よー
(お酒飲めないけど、最近コレだけ飲めるようになってハマってるのです)
ブログランキング・にほんブログ村へ
皆さんあっての今

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です